2013年2月24日日曜日

丁寧

襖の貼り替えは、とても手間の掛かる作業です。

もちろん表面の紙を取り替えるだけなら簡単なことですが、住む人が貼り替え後長く快適に使うということを考えた場合、非常に多くの工程を経る必要があります。

まず、きつくて動かない襖があればそれを削るところから始め…
本襖なら枠をはずします。
ふちの色剥げしたところを塗ります。
古い襖紙を撤去し、痛んだ本体を補修します。
下地のアクが出てこないようにきちんと和紙で下貼りした後…
やっと上貼りします。
その後じっくり密閉した状態で乾燥させ…
シワや剥がれ等が無いかしっかり検品します。この段階で襖の床の状態が良くなく、紙の収縮に負けて骨が暴れて飛び出てくることもまれにあり、そうなるとやり直しということもあります。
次に本襖ならふちを取り付けます。
最後に引き手を取り付け完成です。
建付けは柱と隙間無く合わさり且つスムーズに動くように収めます。

文章にしただけでも多くの工程があるのだと改めて思うのですが、これに加えて、最初に建具屋さんがどのような襖を作ったのか、また、これまでにどのような貼り替えがなされてきたのかで、襖の状態が大きく異なり、考えられないような状況の襖もあったりで、さらに余分な手間の掛かる固体も珍しくありません。

抜こうと思えば幾らでも手抜きできるけどちゃんとやるとなると無数の手数が掛かるのか襖。
繊細で感覚的なテクニックがいるのが襖。
100本襖があれば100通りの違った貼り方を求められるのが襖。
いまだに機械化しないのは以上の点にあるのでしょう。



下貼り済みの画像です。ここまで来るのに結構な手数を要します。





上貼りしてじっくり乾燥させ…組上げ引き手を付けて…




建てつけを調整しながら収めます。

             

             

ストレス無く稼動するか、枠の色剥げしている所、汚れが残っているところなどがないか、細かいところを全体で確認して完成です。


襖の貼り替えは、技術の他に、丁寧に手数をかけるかどうかで仕上がりがきまります。

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